症例:74歳、男性
主訴:胸部X線写真の経過観察
現病歴:平成4年全身状態悪化し徳山医師会病院に入院した。
血液ガスPaO2 28.7mmHg, PaCO2 32.5mmHg, pH7.347
著しい低酸素血症あり、酸素吸入を開始した。
胸部X線写真および胸部CTで間質性肺炎と診断し、ステロイド
パルス療法を施行した。
以後、経過は順調で、外来通院をしており、現在ステロイドは
使用していない。平成10年 2月21日診察をした。
血圧140/80、胸部聴診で fine cracklesを両側
背部に聴診した。 慢性関節リウマチの関節症状を認める。
血液検査:WBC 12500/mm3, Hbg 13.5g/dl, Hct 40.2%, T-P7.7 g/dl
alb 3.8 g/dl,
胸部X線写真 :
肺野のX線透過性は上肺野で強い。両側下肺野では線状陰影を
認める。
血液ガス分析: PaO2 80.9 mmHg, PaCO2 38.7 mmHg, pH 7.400
呼吸機能検査:VC 3.11 L, %VC 95.8%, FEV1.0 1.75 L, FEV1.0%
75.7% , V25 0.56 L/S
Flow-volume caurve :
コメント:
特発性間質性肺炎は原因不明の炎症が主として肺胞隔壁にびまん性に
起こり、炎症細胞浸潤および結合組織成分の異常あるいは増加によっ
て肺胞隔壁の肥厚をきたし、肺の既存構造の改築により特徴ずけられ
る疾患と定義される。
本症は蜂窩肺の存在と肺野、とくに下肺野の縮小が特徴とされてきた。
しかし、蜂窩肺は存在するが、肺の縮小が肺全体では軽度か、ときに
気腫状、嚢胞の存在により肺全体では拡大する症例があることが
明らかになった。これを定型例にたいして、非定型例(B群)として
いる。この例は放射線科医のCTのコメントでは、肺線維症と肺気腫
の合併例として診断されているが、B群間質性肺炎と診断されると
考える。胸部CTで上肺野の所見をみると肺気腫としか診断できない。
しかし下肺野の所見をみると間質性肺炎と診断される。
肺気腫と間質性肺炎は呼吸機能的には正反対の疾患であるが、病因
的にはほんのわずかの原因の差が異なる病変を形成している可能性も
あると考えられる。